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技術開発部 セル開発課
讃岐 菜々子

やって無駄なことは、一つもなかった。
自分の選んだ道に誇りを持ち、
今をひたむきに歩んでいく。

幼い頃から「何かを作ること」が大好きで、手を動かして結果が見えることにわくわくする子どもでした。中でもパン作りに熱中していた時期があり、配合や発酵具合を工夫して「どうしたら理想の焼き上がりになるか」と考える過程が、とても楽しかったのを覚えています。今思えば、そうした作業には化学の研究にも通じる面があったように思います。大学院では、「環境に調和する無機顔料の開発」をテーマに研究を進めました。数百通りの配合を自ら調合し、一つひとつ分析していく作業は地道で、うまくいかないことの方が多かったように思います。それでも、「ここが原因かもしれない」「この組み合わせならどうか」と試行錯誤するうちに、少しずつ答えに近づいていく実感がありました。ある時、思い通りの発色が得られた瞬間の手応えは今でも忘れられません。その成功体験と、研究に真剣に向き合う先輩方の姿勢が、ものづくりの世界で働く決意を後押ししてくれました。

大学院修了後にGSユアサへ入社し、現在は当社に出向。EV用リチウムイオン電池の負極材料・電極設計開発に取り組んでいます。たとえば、ある材料の評価結果が思うように出なかった場合には、その要因を技術チームと一緒に考察し、場合によっては別の手法での分析を依頼するなど、一つの試験結果に対して複数の視点からアプローチする姿勢が求められます。最初は戸惑うことも多かったですが、学生時代の「なぜこうなったのかを考える力」が、今の仕事の中でも確かに活きていると感じます。提案した設計がDesign Reviewにおいて承認されたときは、自分の仕事が製品に影響を与えているという実感を強く持つことができ、やりがいを感じました。また、社内には特定材料や解析手法に長けた専門家の方が多く在籍しており、疑問点があればすぐに聞ける環境が整っています。どの業務も、最初から得意だったわけではありませんが、頼れる先輩方の背中を追いかける中で、自分も一歩ずつ成長していきたい。今はまだ発展途上の自分ですが、「この分野なら讃岐に聞けば安心」と思ってもらえるような存在を目指して、日々努力を重ねています。

材料の評価は、電池の品質や安全性に直結する重要な工程です。だからこそ、プレッシャーを感じる場面もありますが、自分の手で製品を支えているという実感が得られる点に、大きなやりがいを感じています。また、評価業務の中で見えてくる課題を一つひとつ丁寧に解決していくことが、最終的には製品の完成度を高め、EVの社会実装を後押しすることにつながるはずです。自分が関わった電池が車に搭載され、街中を走る姿を見ること。それが今の私の夢であり、いつか街の車の大半がEVに置き換わる未来が来ると信じています。大学時代に地道に取り組んだ研究のように、今の仕事でも目の前の一つひとつに誠実に向き合っていけば、きっと道は開ける。そう信じて、これからも日々、真摯に仕事と向き合っていきたいです。

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